Concept Note
日本の猛暑は、一時的な異常気象ではなく、新しい生活環境になりつつあります。私たちは、「夏は暑い場所で暮らすもの」という前提そのものを問い直します。浪合地区治部坂別荘地は、「夏だけ、もうひとつの居場所を持つ」という新しい暮らし方が成立するかを検証する、小さな実験場です。
このノートは、別荘地の販売促進事業ではありません。気候変動時代における新しい暮らし方を、企業・団体・自治体・メディアの皆さまとともに考えるための構想です。阿智村・浪合地区をフィールドとして、猛暑適応(Climate Adaptation)の可能性を検証します。
猛暑時代に「夏だけ、もう一つの居場所」を求める人は、どの程度存在するのか。
利用されづらくなった別荘地は、新たな出口、新たなライフスタイルの受け皿となり得るのか。
借地権付別荘という仕組みは、新たな居住ニーズ、利用ニーズに応えられるのか。
冷涼な気候は、地域の新たな資産として活用できるのか。
地域の気候や自然資源に合わせた、冷涼の知恵があります。

スウェーデン(サマーハウス)
スウェーデンに伝わるラーゴム(lagom)を体現するのが湖畔のサマーハウス。休日や夏は、都市の便利さを手放し、湖水で泳いだり涼をとったり、自然の恵みを必要な分だけ。赤いサマーハウスで数週間を過ごす。

郡上市郡上八幡・岐阜(水舟)
郡上八幡は水路が暮らしの一部です。水舟は、飲み水、野菜洗い、食器洗いと役割を分けながら、地域の人々に共有されています。上の段は飲み水、下は野菜や食器洗いにと使い分け、食べかすは下の池の鯉が食べます。水を汚さず自然へ還す、無駄のない美しい暮らしの知恵が息づいている。

フィンランド(森とサウナ)
サイマー湖水地方など、美しい自然に点在するモッキ(Mökki、小屋、コテージ)文化。森に入ると人は回復する、というフィンランドの知恵の通り、ここではサウナと湖を往復し、あえて不便を楽しむことが最高の贅沢です。夏はモッキで大自然に抱かれ、冬はコトイル(Kotoilu)で静かに家ごもりを楽しむ。このメリハリが幸福を支える形。

ルーマニア(ヴァルトリ)
ルーマニア北部のマラムレシュ地方に伝わる木製のヴァルトリ(Vâltoare)は、川の豊かな水流を利用した木造の洗濯機。円錐状に組まれた木製の槽に、川の水を勢いよく斜めから注ぎ込む。槽の中で水が強力な渦を巻き、重いじゅうたんや毛布をきれいに洗い上げる。電気を使わず、自然のエネルギーを活かす生活。

高島市針江集落・滋賀(かばた)
比良山系からの伏流水が各家庭に湧き出る滋賀県・針江集落の、かばた。年間を通じて12〜14度の湧水は、夏になると野菜や果物をみずみずしく冷やす天然の冷蔵庫に変わる。残飯は鯉が食べて水を浄化。電気に頼らず、自然の冷たく豊かな水資源をそのまま暮らしに生かす、日本ならではの涼しい知恵です。
阿智村浪合地区・長野(夏季避難)
日本最大の産業都市、名古屋から1.5時間。猛暑日に、人はもうひとつの居場所を持つのか。私たちは、いまそれを確かめています。
8月〜10月上旬ごろ、個人向けの体感会を通じて需要仮説の検証を進めています。また9月〜10月に、現オーナーの方々に遊休化仮説の簡単なアンケート調査を行う予定です。
今後、本構想に関心を持つ企業・投資家の方々に供給仮説、企業やスタートアップ、団体、他の自治体・行政、メディア等の方々と、気候資産を活かした都市と地方での共創、未来の暮らし方などの対話を進めていければと考えています。
浪合地区治部坂高原別荘地は、猛暑時代の新しい暮らし方を提案するための完成されたモデルではありません。古きよき昭和時代そのままです。
むしろ、まだ答えのない問いに向き合う、小さな実験場です。私たちは、「夏だけ、もうひとつの居場所を持つ」という選択肢が、日本の未来に必要かどうかを、皆さんとともに考えていきたいと思います。
問合せ、意見交換、共同研究・実験など、お気軽にご連絡ください。